思い出アルバム 〜ナナちゃん〜
ナナちゃんアルバム
みくちゃんが生まれるずっと前我が家には1匹の猫がいました。
名前はナナちゃん。我が家に来たときはもう10歳のおばーちゃんでした。
私が大学の長期休みで帰省したとき。。。
居間のすぐ外、窓際においてあった鉢植えの上に1匹の猫がちょこんと座っていました。
弟に聞いたら「エサをあげたらくるようになった」とのこと。
小柄な二毛猫でした。
でもよくみると片目眼球ががつぶれててみどりっぽくなってました。
野良なのか。。。でも人懐っこくてぜんぜん逃げようとしません。
次の日もまた次の日もおなじように鉢植えの上にすわっている猫。
かわいいので「くろ」と名前をつけてエサをあげつづけました。
すっかりなついた頃
この猫の飼い主という人がおうちに来ました。
聞くと猫の名前はナナ、歳は10才。
うちにはもう1匹の猫がいてその子と仲が悪くいつも喧嘩しててこのつぶれた片目も同居してた猫にやられたということ。
何度も家出を繰り返し、戻ってはその猫にいじめられて2ヶ月前にまた姿を消してしまったということ。
その人はうちの近所に住んでいてちょうどうちの前の道路を通ったときこのナナちゃんを見つけたというのです。
ナナちゃんをかわいがっていたおばあちゃんは毎日のようにうちの庭にいたナナちゃんに会いにきました。
つれて帰りたいけどまた今までのように喧嘩してしまうから・・・と、うちにキャットフードをおいて帰りました。
それからナナちゃんはうちの子になりました。
それまではお外にいたのですが家の中で暮らすようになりました。
私は1ヶ月おきにナナちゃんに会うために帰省するようになりました。
そして学校を卒業し実家へ戻り毎日ナナちゃんと一緒にいられるようになりました。
それから2ヶ月くらいたって。。。
急にナナちゃんの様子がおかしくなりました。
全くなかなくなりました。
心配になって動物病院へいきました。
みてもらうと喉がはれてるかなんかで声がでなくなったとのこと。
しばらくすると声がでるようになったので一安心しました。
そしてまた1つ気になることがおきました
おなかに「ぼこっ」とした「しこり」のようなものができました。
それがしばらくするとやわらかくなりぐじゅぐじゅに化膿するようになって病院へ通う回数が増えました。
どうやら癌のようでした。
高齢の為手術は危険といわれました。
毎日人間用の消毒パウダーをし様子をみてました。
獣医さんにはそのパウダーが猫に害がないかみてもらって使ってました。
1年くらい後。
急にナナちゃんの容態が悪化しました。
後ろ足2本が冷たくなって、麻痺したようで動かなくなりました。
どこからか出血のようなおりもののようなものもみられました。
苦しそうな声で鳴いてました。
必死で足をあっためたり身体をあたためたり。
病院へ連れて行ったらあと1日もつかどうかといわれました。
後ろ足をひきずって歩くななちゃんをみるのがとてもつらかったですがその必死な姿にまだあきらめられないと看病を続けました。
足もマッサージして、動かすリハビリして。
するとちょっとずつもとにもどって半年後ぐらいには普通に歩けるようになりました。
それから父が病院に連れて行ったら獣医さんに「信じられない」といわれたそうです。
「目がいきいきしている」と
奇跡の生還か!
と安心したのもつかの間。
発作のようなものを起こしたのです。
息苦しそうにしてます。
その回数がどんどん多くなっていきました。
病院に連れて行くと「不整脈」といわれました。
それから数日後
私は同年代の親戚との飲み会でした。
「泊まっていったら?」といわれたけど私はお酒をのんでいなかったので帰りました。
今の旦那さんの車を私のうちにおいて私の車で家まで送り届け次の日にまた迎えにいくことにしていました。
次の日の朝、いつものように外にでたがるナナちゃんの写真をカメラにおさめ外出しました。
旦那さんを迎えに行き一度車をとりに我が家へ戻ると弟が縁側からこちらをみて手招きしていました。
家に入るとナナちゃんがいつものように発作をおこして苦しそうにしてました。
そのまわりに家族全員でナナちゃんをかこんでいました。
「今回はだめだな」ナナに聴診器をあててた父がいいました。
私は泣きながら何度も「ナナ」と声をかけました。
朝まで元気に家の中をあるいてて外にでたがってたのに
私が家について数分後息をひきとりました。
あと5分家に戻ってくるのがおそかったら。
前の日に親戚のうちに泊まっていたら。
旦那さんが車をおいていかなかったら。
看取ることはできなかったでしょう。
あとから聞いた話で父が叔父に「あのとき(私が)猫を看取ることができてよかった」と話していたそうです。
ナナちゃん、あなたが我が家の植木鉢に登った日。
何を想っていたのですか?
我が家に何か感じましたか?
家出をして2ヶ月後たどりついた我が家には何がありましたか?
あなたの求めていたものはありましたか?
あんなにあなたをかわいがっていたママはもういません。
なんだかんだいって世話していたパパもいません。
すっかり我が家は寂しくなってしまいましたよ。
今はみくちゃんがいて幸せだけど
あなたのいたあの頃に戻りたいと思ってしまう自分もいたりする。
・・・楽しかったね。
今はお空から残った私や弟を見守っていてね。